■はじめに
東急電鉄とJR東日本は、来年3月のダイヤ改正にて通勤ライナーを共同で運行すると発表した。
東急では帰宅時間帯に大井町線から田園都市線に乗り入れる座席指定列車(Q-Train)が好評で、朝のラッシュ時にも導入を期待する声が多く寄せられている。だが、朝の過密ダイヤには余裕がない。そこでJR東日本と協議し、田園都市線中央林間エリアからの需要を、JR横浜線に迂回輸送させる計画で話がまとまった。

■田園都市線の町田乗り入れも実現
同時に東急が長年の懸案であった、横浜線町田始発の渋谷・大手町方面直通列車も新設される。これはライナー乗り入れ距離調整として、土休日限定で東急の車両で運行される。

■路線図イメージ
横浜線ライナーと田園都市線町田乗り入れルートをまとめてみた。
ライナーについては、東神奈川駅でのスイッチバック方式で品川に向かうことになる。
将来的には日産スタジアム付近から地下にもぐり、今冬開通する相鉄JR連絡線へ合流させる可能性を残している。
ライナー路線


■使用車両
ライナー使用車両であるが、当初「特急はまかいじ」号として横浜線に乗り入れ実績のある185系を想定していた。しかし、同車両は片開き2ドアであり、乗降時間の増加で遅延が懸念された。
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そこで、白羽の矢が立ったのが、両サイドに両開きドアを持つJR西日本117系である。
117系は2019年秋に和歌山線での全廃が予定され、湖西線でも大幅な運用離脱で持て余し気味である。

  和歌山線117系
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  湖西線117系
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■車両はリース契約を結ぶ
JR東日本はJR西日本と117系のリース契約を結ぶ。
JR西日本は過去にJR東日本から205系電車を譲り受けた実績がある。今回はその逆だが、譲り受けずリース方式とした理由は、高年式な117系の譲渡に関わる税制上の煩わしさを避けた結果と推測できる。

和歌山のJR西日本新在家電車区では、リース対象の車両が綺麗に整備されている。
横浜線運用の準備であろうか、方向幕にはすでに横浜線「橋本」の行き先が確認されている。
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■懸念事項
117系を田園都市線で走らせることについて、2つの大きな問題点がある。

①地下鉄A基準に適合させる区間が存在する。
旧新玉川線区間は地下鉄規格であるが、ライナー運用は高規格トンネルの中央林間~つくし野であるので、117系のA-A基準で走行でき問題は無い。

②車両限界がJRより小さい。
限界寸法拡大工事が必要だが、乗り入れ区間5駅
のホーム幅調整で解決できる。

■歴史は繰り返す混色編成
今回の117系電車はあくまでもリースであるので、塗装もJR西日本時代を踏襲するとしている。
これは、かつての横浜線に存在した混色編成を彷彿とさせるであろう。

  鶯色と水色の混色
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  鶯色編成と水色編成の並び
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■終わりに
117系が関東に登場するなど誰が想像できたであろうか?
国鉄時代に九州の481系先頭車不足を、上越線のクハ181改造車で解決させた時の驚きに相当する。
117系全廃も現実味を帯びてきた昨今、実に有効な計らいとも言えよう。




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